ごあいさつ

MWE (Microwave Workshops and Exhibition)は、マイクロ波技術の継続的発展と産官学の連携を目的とし、ワークショップとマイクロウェーブ展を併設した、マイクロ波技術関連の学術、産業、教育に関する国内最大級のイベントとして長きにわたり開催されてきました。本年はCOVID-19禍を考慮し、関係各位との協議の結果、MWE 2020 (2020 Microwave Workshops and Exhibition)を11月25日(水)から12月28日(月)の間、オンラインにて開催することといたしました。

本年、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが国内で開始されました。5Gは移動通信の進化という側面に加え、DX（デジタルトランスフォーメーション）推進の重要なキーとして産業界からも注目されており、関連する技術の新たな展開と応用が期待されています。さらに、「新しい生活様式」におけるオンラインを前提としたリモート社会を支える技術として、通信の重要性がこれまで以上に高まっており、5Gの次として6Gに向けた検討も開始されています。一方で、ワイヤレス技術は、化学、エネルギー応用などの工業分野や医療、流通、セキュリティなど幅広い分野で活用され、より高性能を目指し、あるいは新しい価値を創造すべく進歩し続けています。

直面した危機を打開すべく、加速拡大しつつあるこれらの技術の進展は、近未来として想定していた時期よりも早いペースで、新しい生活スタイルへの転換を促すと思われます。急速に近づいている新しい時代の礎となるワイヤレス技術を感じていただければ、との思いで、MWE2020の基調コンセプトは、「ワイヤレス技術の今とこれから ―わくわくする未来に向けて―」と、いたしました。

基調講演では、先ず『電波行政の最新動向について』と題して、総務省総合通信基盤局電波部電波政策課 課長 布施田 英生氏にご講演いただきます。続いて、無線技術・AI・IoT等のICT技術とこれからの街づくりについて、『NTTグループの街づくり事業の取り組み〜豊かな社会実現に向けICTはどのように価値を生み出していくか〜』と題して、NTTアーバンソリューションズ株式会社 取締役 デジタルイノベーション推進部長 上野 晋一郎氏にご講演いただきます。

ワークショップでは、22のセッションを企画し、最新のマイクロ波技術動向とアプリケーションを紹介します。若手技術者からマイクロ波技術を専門としない初学者にいたる幅広い層を対象に、マイクロ波技術の基礎から応用までを解説する基礎講座を今年も企画いたしました。またオンライン化に伴う初の試みとして、期間限定ではありますが、ワークショップのオンデマンド配信を計画しています。

マイクロウェーブ展では、大学・高専等研究室と企業展示を予定しており、最新の研究成果と各企業の新製品・新技術などをご覧いただけます。

MWEとマイクロ波関連技術の国際会議APMC(Asia-Pacific Microwave Conference)との関係についても申し上げます。APMCは、日本では4年に一度開催されております。前回は2018年11月に京都で開催され世界各国から多数の参加者を迎え成功裏に終え、次回の国内開催は2022年に予定されています。 MWEとAPMCの連携は、1991年に初めてMWEが開催されて以降、関係各位の多大なご協力を得て今日まで継続しています。APMCは我が国のマイクロ波技術を世界に向けて発信する場であると共に、日本のマイクロ波技術者が担うべき役割と狙うべき方向性を探る場でもあります。 そこで得られた知見・経験は再びMWEに還元され、国内におけるマイクロ波関連分野の学術・産業・教育の発展に寄与しています。

最後に、今年もMWE 2020が開催できますことは、多数の皆様のご支援、ご愛顧の賜と厚く御礼申し上げます。初のオンライン開催であり、至らぬ点も多くあろうかと存じますが、どうかご容赦いただけますようお願い申し上げます。またお気づきの点があればアンケート等でお知らせいただければ幸いです。皆様と会場で直接お会いできないことは大変残念ですが、オンライン開催といたしましたことで、これまで種々の理由でMWEにご参加いただけなかった方々にとって、ご参加いただける機会となるのではないか、との期待もあります。MWE 2020がマイクロ波関連分野の更なる発展の一助となりますことを心から願いつつ、皆様のご参加をお待ちいたしております。

MWE 2020　実行委員会
委員長　岡崎 浩司 ((株)NTTドコモ)